特撮から見る映像業界の今と未来【後編】

WRITER: Taka
2022/07/11

※前編に引き続き一部よねすけ補注

Taka: よねすけさんが特撮系の作品を観る上で、一番着目しているというか重要な要素と考えている部分は何ですか?

よねすけ: たぶん子供の頃からそういう感じだったと思うんですけど、
やっぱ巨大特撮モノって言うからには、
ちゃんと戦闘シーンとか、ゴジラ単体であれば暴れてるところとか、
そういう画作りみたいな部分にはすごく関心があります。

Taka: 対決しているシーンやバトルしているところ。

よねすけ: はい、一時期の特撮作品から予算の都合もあったんでしょうけど、あおりのアングルがすごい増えたんですよね。
どうしても俯瞰で見ると街を全部作らなきゃいけない。
あおりで見ると、見える建物って数が少ないから、そこだけ作り込めばいいよねっていうことで。
だからあおりのアングルで、且つそこの見える範囲の画作りですごいこだわるような作品がどんどん増えてきたんですね。
そういった部分っていうのは毎回楽しみにしながら観てます。

Taka: それで言うと今はCGが発達してるので背景部分作れちゃいますよね。
それはOKですか?それとも昔みたいに実際にジオラマっぽく作ったほうが好きなのかというと。

よねすけ: そうですね、昔は出来なかった信じられないくらい引きの絵とかも、(今は)出来るようになったからすごいなと思いますね。
シン・ゴジラとかも、あんなでかいゴジラをポツンと小さく映して、街をガバガバ壊しながら進む引きのシーンとかもあって、あれCGじゃないと出来ないのかなと思います。

Taka: レーザーぽい攻撃での破壊とかはやっぱり迫力ありますよね。

よねすけ: どうしても特撮だと表現としては限られちゃう部分もあるんですが、
(シンウルトラマンの)スペシウム光線でいうとものすごい射程距離が長いんですよね、今までにないくらい。
ああいう描写が出来るようになったのは、やっぱり良い部分なのかなと思います。

Taka: ストーリー面もやはり重視しますか?

よねすけ: ストーリー面での最初のインパクトで強烈に惹かれるってことはあんまりないかもしれないです。
シンウルトラマンもそのパターンだったんですけど、これ面白そうだなってなると何回も見返して、ストーリーもちょっとずつ咀嚼していくような感じですね。

Taka: 見た目の迫力ビジュアルが一番?

よねすけ: ビジュアル大事ですね。

Taka: 海外の巨大モノ映画で「パシフィック・リム」てあるじゃないですか。
アレかなり日本の影響を受けてますよね。あれはOKですか?

よねすけ: あれはすごいですね。
ゴジラもハリウッドでやってたりするんですけど、
昔1998年に出た時の(通称エメゴジ)はちょっと自分には合わなかったんです。
そういったことも踏まえてなのか、最近のゴジラ作品ってだんだんハリウッドでもオタクの人が作るようになってきていて、
そういうウケやすいものになってきているし、海外の人が作ったからどうだっていうのはあまりなくなってきているような気がします。
理解度がすごい深い人たちが今ハリウッドでも作ってくれてるなっていうのは感じます。

Taka: なるほど、なので日本のファンから見ても違和感なく楽しめるということですね。

よねすけ: そうですね。

Taka: 今後の特撮コンテンツに期待するもの、どこに力を注いでほしいですか?

よねすけ: まあどうしても、こんなこと言っちゃアレですけども、
お金がかかるというのがあるんで、
今回のシンウルトラマンでも庵野さんが仰ってたんですけれど、製作費が足りないというような話をしていました。
※『シン・ウルトラマン デザインワークス』参照

そういった部分を出来るだけ、改善できるものなのかわからないですけれども、そこの体制はしっかり整えていただきたいとは思ってます。

Taka: 全部がCGになってしまうのもやっぱりつまらないですか?
着ぐるみ的なものは残してほしいと思いますか?

よねすけ: 現行のテレビシリーズのウルトラマンとか、まだミニチュアの撮影でやってたりするんですけれど、そういうのを見て育ってきた世代としては、残っててほしいなっていう思いはありつつも、
表現の幅としてはどうしてもCGの方が広がる部分もあると思うので難しい部分もあるのかなぁとは思ったりしますね。

Taka: もし自分が特撮映像コンテンツを企画できるとしたらどんなものを作りたいと思いますか?

よねすけ: それこそさっきも言いましたけど、自分はやっぱり画作りに惹かれる部分があるので、
外歩いてる時とかも妄想しながら歩いてるんですよね。
ここにゴジラの背びれ映ってたらかっこいいな〜みたいなことをずっと考えてるんです。

ストーリーの流れみたいなのはあんまり考えないんですけど、個々のシーンとかはすごい考えるんですよ。
会社からのこの景色でこれ見えたらいいなーみたいな。

やっすん: 逆に自分が映画に出演するとなったらどの役になりたいですか?

よねすけ: 単純に逃げる役をやってみたいですね。うわぁ〜!っていう。
出来るんだったらそのまま潰されたい。

Taka: 着ぐるみの中には入らないんですか?

よねすけ: やっぱ下から見たいっていうのがあるんですよ。

Taka: 10ANTZも映像ビジネスに力入れていくじゃないですか。それについてはどう見ていますか。

よねすけ: 自分の興味ある分野の方にも来てくれないかなぁっていうのはありますね。

Taka: よねすけさんは映像の方がゲームよりも興味があるんですか?

よねすけ: なんかもともとがそういう感じで、ゴジラとか映像の方が面白そうだなっていうので、今ゲームでも割とムービーとか多いよなと思って、そういうきっかけで入ってきたんですよね。

小島秀夫さんとかが映画みたいなゲームを作ってるような感じで、そういうものからインスパイアというか影響を受けてゲーム業界ってのはいいんじゃないか、ということで入ってきたのがきっかけの一つではあります。

Taka: 「地球防衛軍」てゲームあるじゃないですか。皆で大怪獣倒すみたいな。
あれはハマらなかったんですか?

よねすけ: はまらなかったですね…(と言いつつあまり触れたことがない)
なんかもうちょっと、超兵器ではなくて現実にある武器ならなぁと。
「エースコンバット」で敵がゴジラだったら絶対買うと思います。(と言いつつエスコンもあまり触れたことがない)

リアルの中に、ゴジラだったりウルトラマンという虚構をねじ込んでくるっていう部分が好みなんですよね。

やっすん: 「絶体絶命都市」とか好きそうじゃないですか?

よねすけ: (以下「巨影都市」と勘違いしつつ回答)
やりましたねそれ。
ただなんか、もうちょっと柔軟に動いて欲しかったっていうのがあるんですよね。
決められたモーションしかなかったんで。
このルート通れば安全じゃんみたいな感じになっちゃってるんで。
もう少し自由に動いてくれればよかったなあって部分は正直ありました。楽しめはしました。

Taka: いま技術も変化が激しいじゃないですか。
たとえばAIとかVRとか、そっちのほうに期待することとかありますか?

よねすけ: 巨大ものってすごいVRと相性いいのかなと思ってて、
ああいう100メートルを超すものが目の前を闊歩するのはなかなか見れる光景ではないと思うんで、
そういったものがどんどんもっと見やすい環境になってくれると、ファンとしては嬉しいです。

やっすん: CGとかVFX技術とかは興味ありますか

よねすけ: たまにYouTubeでソフトの使い方とか紹介してる動画を、難しそうだなーって見ますけど、
もしできたらめちゃくちゃ楽しいだろうなと思います。

Taka: ぜひ習得されてよねすけさんの作品を見てみたいと思います。
やっぱりなんだかんだヲタの人が作った作品が面白いですよ。

よねすけ:たしかに、歴史としては長い方だと思うんで、
ゴジラも60年以上、ウルトラマンも50年以上やってる作品ってのもあってか、
やっぱすごい濃いファンが多いんですよね。
そんな所まで見る?みたいな、めちゃくちゃ極めてるんですよね。
ファンていうか研究家みたいな人たちがいる。

自分はそういった人たちの足跡を辿れているというか、残してきたもの、書籍であったり映像作品であったり、そういったものを見れるって、恵まれた環境だなと思いますね。
昔はこういうのも共有しづらい時代だったと思うので。
そういったものを見れるのは非常にありがたい時代だなぁと。

Taka: 本日はお話ありがとうございました。

やっすん: ありがとうございました。

よねすけ: ありがとうございました。